2010年07月05日

『笹まくら』

米原まりが『打ちのめされるようなすごい本』だと評していたので、大分前から気になっていた丸谷才一の『笹まくら』をようやっと読み終わった。

すごい。びっくりした。小説ってこういうこともできるんだ、って思った。

解説には「ジェイムズ・ジョイスの影響を強く受けたこの作者が「意識の流れ」の手法を巧みに使っている―」とあって、私はジョイスさんは知らんので、こりゃ読まなと思った。

何がすごい、びっくりした、小説ってこういうこともできるんだ、っていうと、あんな文章の流れ方初めて!っていう。

思考って言葉にしようとするとコトゴトク崩れだし嘘になるものだし、況や小説をや、と思っていたのだけど、これは胸中にアブクのようにプクプクと浮かぶ思考を固めて文字にすることに成功した作品だと思う。

句点読点すら意のままに操り、休むことなく思考する脳に言葉を与える一方で状況を俯瞰し説明する。作者の筆に沿って、主人公に憑依したり傍観したり、こちらの思考の立ち居ちまで操られているような感覚になる。この振り子のような思考の行き来が、おもしろい。

丸谷さんの他の小説の表記が旧仮名だったもんで敬遠していたのだけど、苦手意識を乗り越えて読んでみようと思う。


笹まくら (新潮文庫)

posted by onb at 10:13| Comment(0) | 図書館で借りて読んだ本。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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